AHT(動物看護士)からのお話
当院では、子犬や子猫の里親探しをボランティアの一環として行っています。
2002年に里子として 犬29匹 猫41匹が新しい家族の元へもらわれていきました。
これは、通常、成犬の里親探しは受けていないのですが、特別に里親を探したシーズーのお話です。
サリーちゃん(シーズー・4歳・メス)は、もともと大阪で、飼い主のお父さんに可愛がられながら、幸せに暮らしていました。 ところが、ある日、サリーちゃんのお父さんが入院してしまいました。お父さんは、ガンでした。これから、長い入院生活で、抗がん剤治療など、病気と闘わなくてはならなくなりました。
サリーちゃんは、安城市に住むお父さんの弟の家に譲られて来ましたが、 この家には昔から住んでいる猫がおり、どうしても仲良くやってゆけず、弟さんは仕方なく、なんとかサリーちゃんを可愛がってくれる人を探すことにし、杉浦犬猫病院にやって来ました。
サリーちゃんは、まず、美容院でトリマーさんにきれいにトリミングをしてもらい、予防注射やフィラリアの検査などを済ませました。
先生に、健康チェックをしてもらい、体を調べている時にサリーちゃんの腹部にしこりが見つかりました。乳腺の一部に腫瘍ができていたのです。
サリーちゃんのお迎えに来てもらったとき、先生はこのことを弟さんに話しました。 手術でその部分を切除して、検査をするかどうか。腫瘍が良性・悪性の確立は半々だということ。 万が一、腫瘍が悪性の場合、様々な治療が必要な為、里親を見つけることがとても難しくなること。
弟さんは、とても悩みました。もし、手術を行っても、腫瘍の検査が悪性の場合、 サリーちゃんのお父さんと同じように抗がん剤治療をしなければならなくなるかもしれず、里親も決まらないかもしれない。 こんなに元気で可愛い子なのに・・・。どうせダメなら、と、保健所に連れて行くことも考えました。
悩んだ末、弟さんはサリーちゃんの手術をすることを決めました。もし、結果が良性なら、きっと里親が決まる、と信じて。
12月のある日、サリーちゃんの手術が行われ、組織は検査センターに送られました。 検査センターから、結果が届くまでの1週間、弟さんも、私も先生も、結果が良いことをただ祈って待ちました。
そして、1週間後、とうとう検査の結果が届きました。封を開ける間、緊張の瞬間です。
結果は、<良性>でした。
先生は、すぐに弟さんに電話をし、結果を伝えました。それから、弟さんはサリーちゃんを長い間抱きしめて、最後のお別れをしました。 サリーちゃんは、里子として病院に預けられました。術後の経過も良く、元気になったサリーの里親探しが始まりました。
それからしばらくして、サリーちゃんの里親が決まりました。 人なつこく、愛嬌のある子なので、今ではその家族のみんなに可愛がられ、先住の柴犬とも仲良くして幸せに暮らしています。
現在、全国では、年間53万匹の犬や猫が殺処分されています。 愛知県下では、その数は、約2万匹です。そのうちの多くが、まだ目も開かないような子犬、子猫や、飼い主の引越しなどの 理由で持ち込まれる犬猫です。こうした不幸な犬や猫たちを1匹でも多く、新しい家族を見つけ救っていきたいと思っています。 そのため、飼い主さんのひとりひとりが、繁殖を予定しない犬猫に避妊・去勢手術を受けさせるという意識をもつこと、 ペットを飼い始める前に、本当に生涯責任をもって飼うことができるか、よく考えることなども必要だと思います。