ズーノーシス(人獣共通感染症)について考える

◆ ズーノーシス(人獣共通感染症)を知ってますか? 
ペットは、家族の一員。 こんなこと言わずもがなですよね。ところで、可愛いペットと次のようなことをしたことはありますか?

ペットとキスをする・ペットと同じ寝具で一緒に寝る・ペットに口移しで食餌を与える

 こんな熱〜いコミュニケーションができるのは、愛すればこそ。でも、気持ちはわかるんですけど、「ちょっと待った」なのです。そう、ズーノーシス(人獣共通感染症)とは、ペットとの接触から、オーナーの人間まで病に侵されてしまう病気のことです。
 厚生労働省では、2001年7月、ズーノーシスのホームページを立ち上げ、ペットオーナーや専門家への情報提供を始めています(ホームページ内では「動物由来感染症」と称しています)。また、それと並行して、新聞や雑誌などでも報道されることが多くなりました。
 ただし、一部の過剰な報道で、恐怖心を抱き、ペットを飼うことをやめてしまうのは、ペットにとっても、ペットオーナーにとっても、もっとも悲しむべきことです。大切なのは、ズーノーシスについての正しい理解と予防。愛するペットとの生活をより安全で楽しいものにしたいですね。

◆ ペット(犬と猫)との接触から発症する感染症とは?
 では、愛すべき犬との接触で感染するズーノーシスにはどのような病気があるのでしょう。ズーノーシスを引き起こす病原体は、ウイルス、クラミジア、リケッチア、細菌、真菌類と幅広いですが、ペットに寄生する外部寄生虫・内部寄生虫もズーノーシスを引き起こします。ここでは、最近とみに注目されているノミ、マダニ、腸内寄生虫による代表的なズーノーシスについて知っておきましょう。

 代表的なズーノーシス
 ノミ刺咬(しこう)症 ノミに吸血された場所は赤くなったり、丘疹ができ、激しいかゆみを伴います。特にワンちゃん・ネコちゃんを問わず最近多く見られるネコノミは好んで人に寄生します。
 マダニ咬傷(こうしょう) マダニは人の血も吸います。そればかりかさまざまな病気も運んできます。その一例がライム病。人の死亡例まで報告されている恐い病気です。
 回虫症(トキソカラ症) 回虫の幼虫が人間に寄生して引き起こします。室内や砂場、あるいはペットの毛についた回虫の卵が口から入ると腸内で幼虫となり、そのまま体内に移行して肝臓に肉芽腫を起こしたり、眼に侵入して眼障害を引き起こしたりします。
 鉤虫(こうちゅう)症
 (皮膚爬行=ミミズ腫れ)
鉤虫の幼虫が人間の皮膚から侵入して引き起こします。ペットの糞とともに排出された鉤虫の卵は外界で幼虫となり、まれに人間の皮膚から侵入して皮膚炎や皮膚爬行症を引き起こします。
 瓜実条虫症
 (うりざねじょうちゅうしょう)
ペットの体についたノミを指でつぶしてしまい、その手を洗わずに物を食べたり、口に持っていってしまったときに口から幼虫が入り感染してしまうことがあります。
 鞭虫(べんちゅう)症 成熟卵をなんらかのかたちで口に入れてしまった場合、まれに腸管で成虫になります。


◆ ウチの子にかぎって……油断は禁物です。

ペットと人間の両方に感染する病気−ズーノーシス(人獣共通感染症)。その原因となるのは、ノミやマダニ、腸内寄生虫。人への感染は、ペットとのスキンシップなどによって寄生虫の卵を飲みこんでしまう「口からの感染」と、ペットに付いた寄生虫やばい菌が皮膚や毛穴、傷口などから侵入する「皮膚からの感染」があります。これらのズーノーシスに感染すると、どのような症状が出るのでしょう?具体例を見てみることにします。

 口からの感染
 回虫が寄生した場合  猫回虫症 体の中を動きまわる寄生虫の幼虫が目に達し、斜視や視力低下な  どを引き起こします。瞳孔が白く濁る白色瞳孔もその症状のひとつです。
 瓜実条虫が寄生した場合  瓜実条虫症 瓜実条虫の幼虫を持ったノミを誤って食べてしまうとペットはもちろん人も感染します。糞便中に、瓜実条虫の切り離された体の一部が排出されるため、肉眼で見つけることができます。
 皮膚からの感染
 鉤虫が寄生した場合  皮膚爬行症 鉤虫の幼虫は、人の皮膚や毛穴から体の中に侵入し、皮膚にミミズ腫れをつくります。皮膚の下を幼虫が動いていくので激しい痒みがあるのが特徴です。
 細菌が侵入した場合  猫ひっかき病

これは、ノミが媒介する細菌が傷口から入って起こる病気です。ネコちゃんにひっかかれたり、噛まれたときに、そこから細菌が侵入し、リンパ節が腫れたり、熱を出したりします。以上は、寄生虫やばい菌が引き起こす病気の一例ですが、このほかにも、ノミが原因となる皮膚炎やマダニが原因となるバベシア症やライム病、ペパトゾーン症など、ペットと人に深刻なトラブルを引き起こす病気があります。


◆ 病気には、予防を。守りたい10のルール。

ズーノーシスから家族を守るために私たちには何ができるでしょうか。おうちに帰ったら、手洗いやうがいを心がけるように、ズーノーシスを予防するためのポイントをぜひ知っておいてください。

  1.キスや口移し、自分と同じお箸などで食べ物をあげない。

  2.ペットがネズミやゴキブリを食べたりしていないか注意。

  3.ペットのおうちは清潔に。排泄物はすぐに片付けを。

  4.「うちの子は大丈夫」と思わず、定期駆除を。

  5.ペットと遊んだあとは、必ず手を洗う。

  6.ネコちゃんの爪は、いつも短くしておく。

  7.散歩から帰ったら、足を洗ってあげる。全身のノミやマダニもチェックしておく。

  8.いっしょに寝るのは、できるかぎり避ける。

  9.ペットの排泄物は必ず持ち帰る。

  10.道端や草むらの排泄物には、絶対近づかせない。

ペットとの暮らしのルールをきちんと守れば、ズーノーシスは決して恐くありません。上記の10ポイントをしっかり心にとめて、愛する家族と仲良く暮らしていきたいですね!


◆ 合言葉は、Z.C.(ズーノーシス・コントロール)
ズーノーシスの原因となる寄生虫(ノミ、ダニ、腸内寄生虫)は日常生活のいろいろな場面に潜んでいます。ズーノーシス予防のための第一歩は、まず寄生虫の感染経路を知り、ペットとの適切なスキンシップ方法を身につけること。そして、感染症を予防するための定期駆虫・定期駆除を行うこと。このように意識的にズーノーシスに対処することをZ.C.(ズーノーシス・コントロール)といいます。ペットオーナーの「新しい習慣」として身につけたいものです。

ズーノーシスについて、さらに詳しい情報が知りたい方は、下記へアクセス。この機会に、ペットとのスキンシップのあり方を見直してみてくださいね。

■ ズーノーシス・コントロール
http://www.zc-info.com/

■ 動物由来感染症を知っていますか?
http://www.forth.go.jp/mhlw/animal/