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お宅のワンちゃんは咳をしませんか?@ 〜フィラリア症〜

犬も咳をします!!
時々犬の咳は嘔吐と間違えられる場合があります。それは人間が痰を吐くような仕草を犬もする為です。どのような症状なのかしっかり獣医師に伝えて,咳なのか他の症状なのか判断しましょう。
咳というと、風邪や肺炎、気管支炎などをすぐに思い浮かべると思います。しかし、犬が咳を起こす原因となる臓器は肺や気管だけとは限りません。犬では循環器(心臓)の疾患で咳を起こしている場合が少なくありません。

そこで今回は咳を起こす循環器疾患として、まずフィラリア症についてご説明します。

 
●フィラリア症とは
多くの飼い主様はこの病気の名前をよく耳にされると思いますが、病気の原因、症状、検査法、また治療法まではなかなか浸透していないのが現状です。
 
●原因
フィラリア症は犬糸状虫(D.immitis)という寄生虫によって引き起こされます。犬糸状虫は蚊を媒介として、主に犬から犬へと感染※1します。
犬糸状虫は犬の体内で成虫まで成長し、肺動脈に寄生※2するようになります。
肺動脈に寄生した犬糸状虫の成虫により、呼吸器症状を始めとする諸症状が引き起こされます※3。
※1ミクロフィラリアと呼ばれる犬糸状虫の第一段階の幼虫(L1)は、蚊が犬糸状虫感染犬(やその他の感染動物)から血を吸うとき蚊の体内に取り込まれます。蚊の体内(マルピーギ管内)で14〜16日で2回脱皮して第2段階(L2)、第3段階(L3)の幼虫に成長し、L3の幼虫は再度、蚊が犬を吸血する際、刺し口から犬の体内へ侵入します。犬の体内に侵入したL3は2〜12日目で第4段階(L4)幼虫へと成長し、さらに50〜70日目で第5段階(L5)幼虫に成長します。

※2成虫まで成長すると、それまで体内組織に寄生していた虫が心臓の肺動脈に寄生部位を変えます。ここでL3幼虫の体内侵入から最短190日で雌成虫は性成熟に達し、雄との一度の交配で大量のミクロフィラリアを産出します。成虫は犬の体内で約5年間生存し、ミクロフィラリア(幼虫)は約2年間生存すると考えられています。ミクロフィラリアは妊娠中に母体から胎児に移行でき、その結果新生児の血流にミクロフィラリアが存在することがあります。
 
 
※3犬糸状虫の成虫は直接接触することによる変化を肺動脈に引き起こすうえ、犬糸状虫抗原の沈着による変化を肺微小血管系と肺実質に引き起こします。
肺動脈内での変化は複雑ですが、最も共通した変化は肺動脈の直径が拡大することです。また、血流遮断を伴う血管内膜と中膜の肥厚によって肺血管の弾力性の低下と肺血管の抵抗性の増大が起こり、それが重篤な場合は肺動脈圧上昇(肺高血圧)を引き起こします。右室肥大は重篤な犬糸状虫症発症犬に多く見られますが、それは肺高血圧症により右室圧が過負荷になることにより求心性肥大を発症するためです、また、重度発症犬では心室壁肥厚による容量過負荷もおこります。さらに中等度から重度の肺高血圧症は、右心拡張をもたらし、さらには右心不全を引き起こすこともあります。
肺実質の変化としては重度の肺動脈疾患は小血管からの血漿と炎症性細胞の浸潤を増加させ、その結果、肺動脈周囲の浮腫と炎症が起こります。それはさらに肺の間質と肺胞に浸潤していき、慢性で重度のものでは、肺の不可逆的の繊維化を引き起こします。また、血栓塞栓症も肺実質の障害をもたらし、病変は肺の後葉で最も多く見られます。アレルギー性肺炎は犬糸状虫が寄生した犬で見られる肺実質疾患でミクロフィラリアに対しアレルギー反応を生じることで起こります。
心臓や肺以外の臓器も犬糸状虫寄生の影響を受けます。特に免疫複合体性糸球体性腎疾患は最も多く見られる合併症です。
 
●症状
犬糸状虫が寄生しているほとんどの犬では症状を示さないことが多いですが、重症なもの(大量のフィラリア寄生があるもの)ではアレルギー反応が生じることが多いです。また、咳、呼吸困難、頻呼吸は呼吸器症状として最も一般的に現れる症状です。運動不耐性もよく見られる症状の一つです。
さらに重度の症例では失神を起こすことがあり、喀血も重篤症例で時折見られます。
 
 
●検査法

血中のミクロフィラリア検査(顕微鏡で血液中のミクロフィラリアを確認する)や、血液の成虫抗原検出検査(市販のキットを用いる)が一般的です。また、感染が疑われる症例では心エコー検査で肺動脈内または右心室内の成虫を描出することによって診断が行われます。

 
●予防法・治療法

フィラリア症の予防には、犬糸条虫の幼虫が成虫になる前に定期的に駆除することが必要です。
そのため、当院では幼虫に対し効果のあるモキシデクチンまたはイベルメクチンの1ヵ月毎の投与を行っております。
また、成虫の寄生に対しては完全な入院管理の下、チアセタルサミドでの注射治療、あるいは、フィラリア成虫を外科的に釣り出す手術を行っています。注射での駆虫か外科的手術かは、フィラリアの寄生数や症状によって変わり、寄生数の多いものは外科的手術になることが多いです。

 
●最後に

フィラリア症は完全に予防をすることが出来る疾患です。しかし、予防は簡単であるのに、一度罹患してしまうと、命に関わる可能性もあり、治療できたとしても肺炎や循環器症状が残ってしまうことも珍しくない病気です。
治療よりも予防を

 
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